tackieのフットボールブログ⚽️

ライター志望です。サッカーについて感じたことを書きます。プレミア・アーセナル・イングランド代表好きですが、なんでも書きます。

賛否両論のポーランド戦/日本サッカーの今までにない形を見せた残り10分(後編)

この前の続きです。

 

 こちらが前編です↓

tackie23.hatenablog.com

 

 

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前回は西野監督の考え抜かれたあの策、そしてあの展開が「面白い」と言えるということに重きを置いて書きました。今回はもう少し細かい部分の理由で「自分が【B】派であるということ」を書いていきます。

 

 

⚫️計3試合のグループリーグという特殊な戦い方

 

今回A派の人たちは、「決勝トーナメント進出」という「結果」に対して「面白味のないボールまわし」という「過程」を踏んで突破したことに不満があるようですが、

 

それなら、日本がここまでコロンビア、セネガル相手に1勝1分という戦前の予想を大きく超える好成績を残したという「過程」は無視されてよいのでしょうか?

 

「最後の3試合目のたったラスト10分に勝つためにパス回しをしたこと」は、その大きな2つの「過程」全てが無意味になるほど、ひどいものでしょうか?僕はそうは思いません。

 

なぜかというと、W杯のグループリーグというのは、3試合合計の結果が評価されるからです。

 

選手も監督も目先の1試合の勝利を目指しているわけではありません。3試合合わせた結果で、決勝トーナメント進出に値するかどうかが決められる世界です。その3試合目で、あの様な「他方の結果を気にしつつ時間稼ぎをする」という展開は、自然な流れであり、サッカー界では当たり前にあることです。

 

決してそれが良いか悪いかという話ではなく、W杯のGL3戦目という試合の終盤に行われたあの展開を見て、ショックを受けるような人たちは、単純にサッカーをあまり知らない方たちなんだろうなと僕は思います。

 

選手たちは常に「ロマン」のためにプレーしているわけではありません。

 

極論で言えば、根本的な部分では選手たちは「観客の気持ち」なんてどうでもいいと思います。

 

それが勝負の世界ですし、実際にあの人が死ぬレベルの暑さのピッチに立ってボロボロになりながら闘った選手たちが「勝ちたい」という気持ちから選んだ策に外野がどうこういうのはある意味ナンセンスだと僕は思います。

 

そもそもあのパスまわしの展開も、最初の2試合での結果があってこその展開です。あの時日本代表は、自分たちの力で「残り10分パスまわし出来る権利」を勝ち取ったのです。

 

 

⚫️お金を払っている人たちも喜んでいるという事実

 

次はAの6についてです。

 

TwitterなどのSNSを見ていると「観客はお金を払って観に来ているのに…」という意見が多かったです。

 

もちろん実際お金を払って現地に観に来て怒った人たちもいると思います。

 

では実際にお金を手間をかけて現地に観に来た僕の意見を言わせてもらいますが、僕は大満足でした。なぜなら「日本が決勝トーナメント進出を決める瞬間を生で見ることができた」からです。そんなこと人生でもそうそうありません。

 

周りを見回しても、不満そうな日本のサポーターは僕が見た限りではいませんでしたし、むしろ日本が決勝トーナメント進出を決めて抱き合って喜んでいる人、涙を流して喜んでいる人ばかりでした。

 

お金と手間をかけてわざわざこの遠いロシアの地まで観に来た人たちは、むしろ「どんな形でもいいから決勝トーナメント進出するところが見たかった人たち」だと思います。

 

だから、日本でテレビで見ている人たちが「お金を払って観に来ている人達が〜」という心配はしなくていいです。

 

実際あの時ブーイングをしていたのは、単純に「ショー」として楽しみに来たロシア人サポーターと、もう結果なんてどうでもいいポーランドサポーターでした。僕が見た限りでは。

 

そのため、その単純に楽しみにきたロシア人サポーターたちには、申し訳ないと思ってもおかしくないでしょうね。でも、日本代表は別にロシア人のために闘ってるわけではないですよね?

 

【必ずしも「面白い試合」だけが人を喜ばせるわけではない】という面はサッカーの魅力の一つだと思いますし、そのレアなケースを実際に生で観ることが出来て僕は大満足でした。W杯の舞台で日本代表がそれをやりきるところなんて、なかなかないですよそんなの。貴重な経験でした。

 

 

⚫️「子供たちが〜」という人たちへ

 

今回の件で特に多かったのは

 

①「試合を観ていた子供たちにどう説明するの?」

 

②「子供たちの夢を壊さないで!」

 

という意見です。Aの7の意見ですね。

 

これについてもハッキリ言います。

 

①まず、あらゆることについて説明するのは親や周りの大人の責任ですし、そんなこといちいち日本代表に聞いてこないでください。

 

②そんな程度で壊れるほどの夢なら絶対に叶わないですし、その時点で諦めたほうがいいです

 

もうこの二つが全てですが…。

 

①については、このままです。日本代表はただ自分たちがやるべきことをやっただけですので、そのことをどう説明するかはどう考えても親の責任です。これも極論ですが、日本代表は子供たちのために闘ってるわけではありません。自分たちのために闘っているのです。頑張って言葉を選んで説明してください。

 

日本の子供たちが海外の同年代の子たちに比べて「自分で考える力」が劣っているとよく言われるのは、この「決まり文句」のせいじゃないでしょうか?

 

次に②についてです。ここまで何度も話している通り、サッカーにおいてあの様な展開はよくある事であり、ああいう側面もあります。これは確実に断言できますが、もし本気でプロサッカー選手になることが夢なら、ああいう側面を受け入れずにその夢を叶えるのは絶対にムリです。100%ムリです。

 

本気でプロサッカー選手になりたいなら、むしろ少しずつでいいので伝えていかなければならない部分です。

 

これらはBの7に関連づけられます。

 

「観る人を楽しませるサッカー」だけがサッカーの全てではないです。

 

ああいうことを受け入れて、時に実行もできる憎たらしさも身に付けなければならないです。それを避けて夢が実現するほどプロの世界は甘くありません。

 

実際に夢を叶えてプロになっている人たちは、みんなそれを受け入れた人たちです。

 

岩政大樹氏の意見↓

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前園真聖氏の意見↓

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遠藤保仁選手の意見↓

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このように、本当に夢を叶えてプロになった選手たちの多くがこの日本の戦い方に理解を示していることが何よりの証拠です。

 

子供たちの夢を壊しているのは、選手たちではなく、①や②の様な甘っちょろいことばかり言っている大人である自分たち張本人なんだといい加減気づきましょう。

 

まあここまでは将来プロサッカー選手に「本気の本気でなりたい、ぜっっったいなりたい」と思っている子供向けの考え方です。

 

もし「まあなれたらいいや〜」くらいの子供があの展開をみてショックを受けていたのであれば、さっき言ったように、『必ずしも「面白い試合」だけが人を喜ばせるわけではないんだよ』と優しく教えてあげればいいだけの話です。

 

 

⚫️他国の結果に全てを委ねたことについて

 

最後に、Aの8についてです。

 

今回あった批判的な意見の中で、これを理由にしているものはむしろめちゃくちゃ理解できます。かなり筋が通った意見です。他のただの感情論とは全く違います。

 

あの時多くの選択肢があった中で、「日本が一点取る」ということより「セネガルが点を取れない」という、いわゆる不確実性のある他方の結果に全てを委ねたことについて疑問の念を感じた人は多いと思います。

 

しかしどうでしょう。僕はあれを完全な「他力本願の大博打」とは思いません。

 

あの息詰まる状況で、「日本がこのまま点を取りに攻めにいって反対に一点取られる、もしくはイエローカードを一枚もらうというリスク」と、「セネガルが一点とるリスク」を一瞬の判断で天秤にかけ、後者の方が低いと即時に判断し、長谷部を投入し時間稼ぎをするという決断を下した西野監督

 

これを「他力本願」と呼べるでしょうか。間違いなくギリギリの状況であの判断を下したのは西野監督本人です。

 

言ってしまえば、あのスタメンを選んだ時点でこういうことも起きる可能性はあるという想定はある程度最初からしていたと思います。

 

そしてそうなった場合「セネガルが一点取るリスクの方が低いだろう」ということもあらかじめ考えていたのではないのでしょうか。

 

あのスタメンを選んだのも今後勝ち抜いたことを考えて絶対に不可欠な柴崎・酒井宏樹・吉田・長友以外の主力温存の意味を含めてのものであり、その選択をした場合、終盤にああなることも致し方ないことだと最初から考えていた様に見えます。

 

じゃないとあんな冷静な判断即時にできないです。長谷部をスタメンから外したのも、「終盤で時間稼ぎをする可能性もある」ということを試合前から考えていたためではないのでしょうか。

 

僕もスタジアムで観ていたときは「これが最善策なのだろうか。」と思う節は間違いなくありました。

 

しかし帰って冷静になって考えてみれば、あの状況で二つの事象を天秤にかけたとき、暑さで疲労困憊している日本が無理に攻めにいってカウンターを食らったり不用意なファールをしてしまうというリスクの方が高かったと思いました。

 

その判断はあらかじめ頭に入れていないとできないことだと思います。ポーランド戦はいろんな意味でのギャンブラー・西野監督の勝利でした。

 

 

以上で全てになります。

 

長ったらしくてまとまってない部分もあったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

これは本当に難しいことですが、サッカーは観る人によって感じ方が異なるので「これが絶対正しい」なんてものはありません。

 

ただ、一つ言いたいのは、日本代表は夢のない闘い方をしたわけではありません。残り90分まだW杯で日本代表が観られるという夢を与えるための最善の戦い方をしたのだと僕は思います。

 

そして今回の件の様な事が起きたとき、多くの人がそれぞれの意見を持ち寄って議論する事が間違いなく今後の日本サッカーの未来のためになると思います。

 

とりあえず、運命の一戦・日本vsベルギーも観戦予定なので思いっきり楽しんできます!!そして日本に帰ります。帰りたくない…

 

ではまた。