不本意ながら、日本代表への関心が確実に薄れてきている①/中島翔哉落選のゴタゴタ
こんにちは、たっきーです。
先日5月18日、30日のガーナ戦に挑む27名、および来月14日開幕のロシアW杯に向けた候補のメンバーを発表しました。
正直、何から書いていけばいいのかわかりませんが、とりあえず今はタイトルと同じような感情を持っています。
ここ数ヶ月、日本代表および日本サッカー協会への信頼感や期待感は日に日に落ち続けていますが、僕個人としては「どんなことがあってもW杯での日本代表は応援し続けよう」と思っていました。
なぜならば、「日本代表が酷い状況になること」や「日本代表への不信感が募ること」と、「自分が生まれた日本という国をW杯という大舞台で応援したいという気持ち」はなんだかんだ全く別のものであると思っていたからです。
しかしそんな僕でも、日本代表を「応援したいという気持ち」が今着実に薄れ始めていて、それをヒシヒシと実感しています。こんなこと今までありませんでした。サッカーを心から愛している人ほど、今そういう感情になっているのではないのでしょうか。
色んな理由がありますが、それについて主に今回のメンバー選考について触れながら書いていきます。
今回の主なトピックは以下の4つです。
①中島の落選&その不可解な理由
②その他の有力候補の落選&落選候補で招集された選手の謎
③今回の選考における一番の問題点
④西野監督に同情する部分
①最大の衝撃・中島翔哉の落選
●事の成り行き
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任されてから、今回のメンバー発表がこんな事態になることはある程度僕も予想していましたし、その覚悟はしていました。
だとしても、さすがに中島翔哉の落選までは予想できませんでした。
今回の発表をTwitterで見た時「あぁ…堂安や南野はやっぱり外れたか…(中島は当然いるものと思っている)」→7分後くらい「えっ…中島いないの!?!?」ってなりました。
サッカーに詳しくない人にもわかりやすく例えると、外国人に「日本で今をときめくイケメン若手俳優を23人教えて!」って聞かれて山﨑賢人を入れないのと同じレベルです。
入れますよね…もちろん…そんな外国人いたらメチャクチャ怖いですが…。
今回の発表を受けて、ネットや Twitter等でのサッカー関係者やファンの声の中でもやはり最も中島についての意見が多かったです。
サッカーについて詳しくない人に向けて、中島翔哉がどんな選手なのか、今季どんなことを成し遂げたのかについて軽く書きます。
1. 164cmと小柄ながら、切れ味鋭いドリブルとパンチの効いたミドルシュートが得意な、攻撃の切り札と成り得る選手
2. 今シーズン(2017-2018)、移籍初年度のポルトガルリーグで10ゴール・12アシスト
3. 今季ポルトガルリーグで2桁得点・2桁アシストを記録したのはリーグにおける全ての選手の中でも中島のみ
4. その活躍が認められて3月に日本代表に初招集され、起用されたマリ戦で即結果を残す
正直、選ばない理由が見つからないほどの、現在日本屈指のタレントです。
また、コンディションの面に関しても、シーズンを通してしっかり試合に出て結果を残し続けたので、現在彼より良い選手を日本で探す方が難しいと思います。
W杯という世界の大舞台で現在日本で最も結果を残している男がどれだけ通じるのか。これを楽しみにしていたサッカーファンは多かったと思うので、とても残念な気分になりました。
「当確と思われていた選手が選ばれない」ということは日本に限らず、W杯前の時期になると強豪国を含め毎度のことあります。
スペインではアルバロ・モラタが選ばれなかったり、フランスではアレクサンドル・ラカゼットが選ばれなかったり、ドイツなんかは層が厚すぎてそれのオンパレードです(笑)。
そういう時に必要になるのはもちろん、納得できる「選ばなかった理由」です。特に中島レベルの選手が選ばれないとなるとそれ相応の理由が必要になります。
しかしハリルホジッチ監督の後を引き継いだ西野朗監督が記者会見で述べたその理由は、サッカーファンを大きな混乱に陥れました。
今季大活躍の中島翔哉。日本代表に招集されず。
— フットボールチャンネル⚽️ (@foot_ch) 2018年5月18日
落選理由について西野監督は「彼はポリバレントでは1年間なかった」と説明。https://t.co/4gcBbKOP2K
その理由は「ポリバレントではない」というものでした。
えぇ……
納得できない理由である以前に、まず意味がよくわかりませんでした。
いやもちろん僕も「ポリバレント」という英単語の意味は知っています。サッカーにおける場では、この言葉はよく「複数のポジションがこなせる」というニュアンスで使われます。まあいわゆる「ユーティリティ」に近い言葉ですね。
今回意味がわからないと感じたのは、その言葉自身の意味ではなく、西野監督がどういうニュアンスでこの言葉を使ったのかがわからないという意味です。なんか意味って言いすぎて自分でもよくわかんなくなってきました。
なぜならば、中島は普通にポリバレントな選手だからです。
打開力があってミドルも打てるという点から、攻撃的なポジションなら左サイドだけではなくトップ下・右サイド・2トップのシャドウなどをある程度こなせますし、なんならゼロトップの真ん中でも機能しそうです。
実際に中島は所属のポルティモネンセでも色々なポジションで出場していました。さらには海外で揉まれた選手らしく、攻撃面だけではなく守備面の貢献でも以前より成長しています。
西野監督は試合に出る中島を追跡した上でこの判断を下したようですが、だとしたら何を追跡していたのか、甚だ疑問です。間違えて山﨑賢人でも追跡してたのでしょうか…。
というか、100万歩譲って中島がポリバレントな選手ではなかったとして、なぜ他の選手との競争に負けたのが謎です。他の左サイドの候補と比べても、最も本番での活躍が期待できるのは彼です。
というか(2回目)、さらに反論すれば、そもそもW杯は言うほど長期決戦ではありません。とりあえず絶対に勝たなければいけないのは目の前の3試合です。
となると本当にチームに必要なのは、「ポリバレントな選手」ではなく、シンプルに「勝負を決められる選手」(切り札となり得る選手)ではないのでしょうか。
となると(2回目)、最も納得できる結果を見せつけているのは中島ですよね、どう考えても。
また、彼がポリバレントな選手じゃなかったとして、左より候補の少ない右サイドでのプレーに期待が持てなかったとします。だとしても、その代わりに選ばれたのが試合にすら出ていない浅野拓磨ですよ??そりゃ納得はいきませんよね。
そして「中島ポリバレント事件」には衝撃の後日談があります。
●西野監督こそ「コミュニケーションに問題がある」?
ここまでの展開で、西野監督の「ポリバレントではないから」発言があまりにもツッコミどころ満載なので、『そもそも西野監督の言う「ポリバレント」と受け取り側の考える「ポリバレント」の意味に乖離が発生しているのでは?』説が生まれるのは自然な流れでした。
そしてTwitterなどのSNSでも実際にその議論が多くなされました。
最も僕が「なるほど」と思った意見は、
・西野監督は「ポリバレント」という言葉をシンプルに「複数のポジションをこなせる」と言う意味(今回大多数の人がそう思った)ではなく、「多くの価値を与えられる」という意味で使ったのではないか。
という意見です。
手っ取り早く事の顛末が知りたいという方は、この方の一連のツイート内容を読んでいただければよいかと思います。すごくわかりやすいです。↓
西野さんと多くの人とで「ポリバレント」の用法と意味が違うというのはまったく河治さんのおっしゃる通りだと思う。が、西野さんが間違っているのではなく、むしろ西野さんの方が正しく「ポリバレント」を使っていると思う。そして、この理由で中島を招集しないというのは納得がいく。 https://t.co/waeCqqQwug
— はやし まいき (@Hayashi_BFC) 2018年5月18日
これはつまり、「中島は確かにシーズンを通して様々なポジションをこなして結果を残したが、左サイド以外のどのポジション(右サイド・トップ下・2トップの一角)をしている時でも結局はチームに同じ価値しかもたらしていない」という意味です。
例えば本田圭佑であれば、右サイドで出場した時・トップ下で出場した時・1トップで出場した時、それぞれで異なるプレーをしてチームに異なる価値を与えます。
ただ、中島に関してはどこのポジションでプレーしても、結果は残しますが「中島翔哉」である事は変わりません。
中島の落選が妥当かどうかは置いといて、西野監督がもしそういう意味で「ポリバレントではないから」という理由を述べ中島を外したのであれば、言っている事自体は間違いなく正しいです。
僕もこの意見を見た時、思わず目からウロコが落ちて「おぉ…」と言ってしまいました(そもそもそんな受け取る側によってニュアンスが変わるようなよくわからない言葉を会見で使うなよとも思いますが)。
…が、しかしです。
【ポリバレント 西野監督の真意】サッカー日本代表の西野監督が、中島翔哉について「ポリバレントがなかった」と発言。同監督は21日、その真意を語り、「競争の中で、選択肢の中で選ぶことができなかった」。 https://t.co/u93RVOMFO8
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2018年5月21日
西野さんシンプルに「ポリバレント=複数ポジション」だった問題。
— 河治良幸 (@y_kawaji) 2018年5月21日
そうです、別に深い意味があったとかではなく、西野監督はシンプルに「ポリバレント」=「複数のポジションをこなせる」という意味で使っていたのです。今世紀最大の衝撃です…。
上に貼ったYahoo!ニュースの記事を読めばわかりますが、その上で「ポリバレントのなさが理由で外したワケではない」と語ったのです。
えぇ……(2度目)
よく意味がわかりません。あの会見の感じだと100人中100人が「中島はポリバレントの無さが理由で外されたんだ」と思うはずです。
ハリルホジッチ監督は「コミュニケーションの問題」で解任されてしまいましたが、これでは「後任の西野監督の方がコミュニケーションに問題があるのでは?」と思わざるを得ませんよね。もうなにがなんだか。
●おまけ:逆に中島を招集しない理由を考えてみる
なんか楽しくなってきたので逆に招集しない理由を考えてみます。
ありませんでした。
ウソです。ちゃんと考えます。
・代表での実績、経験がなく、連携面が不安
→【反論】ハリルを解任して1からチームを作り直しているのでそれは全然関係ないし、むしろそういう時こそ中島のような選手を招集するべき。というか今レギュラークラスで信頼できるのは吉田麻也と酒井宏樹くらいで他はみんな同じスタートラインにいる。そもそも今の日本の問題点は連携面どころじゃなくて他にもっとある。
・左サイドは人材が溢れすぎている(これは実際に会見で西野監督が行ったことでもあります)
→【反論】それはめちゃくちゃ正しいが、その溢れている候補たちの中でなぜ中島が選ばれないのかがわからない。みんな同じスタートラインにいる。ていうか中島は代表に招集されて即結果を残したのでむしろ他の候補より半歩先にいっているはず。
・ポルトガルリーグでの活躍はアテにならない
→【反論】ポルトガルリーグはオランダやベルギーなどと同じ、いわゆる「若手の登竜門」と言われるリーグで、4大リーグの多くのスカウトが視察にくる。このリーグで活躍できるということは素質のある選手だという証。それどころか中島は今やリーグ屈指のスター。
まあということで、中島落選に納得できないのは自然な流れですよね。もうそれについてどうこう言ってもどうにもならないですが、僕もいちサッカーファンとして、現時点での日本最高のタレントがW杯でどれくらい通用するのかが見られないのがただただ残念でなりません。
今日本代表はめちゃくちゃな状態なので、もはやW杯本大会では結果よりもそういうトピックの方が重要な気がします、近い未来のことも考えて。非常に勿体無いです。
長いので次に続きます。
②です↓