tackieのフットボールブログ⚽️

ライター志望です。サッカーについて感じたことを書きます。プレミア・アーセナル・イングランド代表好きですが、なんでも書きます。

ハリルの解任について:その②/「否定派」の立場に立って考える

 

こっちも加筆したのでまた読んでいただきたいです↓

tackie23.hatenablog.com

 

前回は「肯定派」の立場に立ってハリル解任について考えました。今回はその逆ですが、ここからが本番です(笑)。

 

 

<否定派意見>つまり解任すべきではなかったという側に立った意見〜

 

 

1. この時期に解任してもどうにもならない

 

最初にも述べましたが、W杯本番2ヶ月前のこの時期に監督を解任するというのは普通は有り得ないことです。今回は西野朗監督に決定しましたが、この後誰が後任になったとしても本大会での苦戦は必至でしょう。

 

そうなると、どういう結果になろうとこのままハリルホジッチ監督でいってよかったのではないでしょうか。

 

ハリルはそれまで長く日本が武器にしていたパスサッカーというスタイルを捨て、「縦に早い」「デュエルに負けない」というある意味日本にはあっていないのではないかとも思えるスタイルを植え付けようとここまで試行錯誤を繰り返してきました。

 

岩政大樹氏も今回の件でコメントしていましたが、この一見「日本人には合わない」とも言えるスタイルでどこまでW杯で通用するのかに興味があったという人は多かったと思います。

 

最近は結果が出ていなかったとは言え、ハリルはレベルが上がってきたアジア予選で日本を本大会出場に導き、ここまで試行錯誤をしながらチームづくりを進めてきました。

 

それならもうどんな結果であれ本大会もハリルに任せてしまうのが賢明な判断だったと思います。

 

というか、仮に解任するとしてもそれならもっと早いタイミングがあったはずです。

 

2連敗したブラジル・ベルギー戦の後、調子の上がらなかったアジア予選の途中、さらに言ってしまえば、ホームで負けてしまったアジア最終予選初戦のUAE戦の後でもよかったはずです。

 

このタイミングでの解任は準備を進めてきたハリルにとっても気の毒で仕方ないです。

 

判断の遅さが目立つJFAには疑義の念を抱かざるを得ません。

 

 

2.ハリルは本番で結果を出せるタイプの監督だということ

 

 

・ハリルの監督としての特徴

 

ハリルの大きな特徴として、徹底的に対戦国分析に時間をかけることが挙げられます。

 

有名な話ですが、ハリルは対戦国分析のための映像でのビデオ確認、そしてそれを選手に伝えるミーティングへの時間のかけ方が物凄いそうです。

 

今まで様々な監督を経験したベテランの長谷部誠でも、「今までの監督の中で最もミーティングが長い」というほどでした。

 

・ハリルらしさが出た2つの試合

 

これは「肯定派」の理由の②に関わる話ですが、ハリルはそもそも本番に完璧に照準を合わせてそれまで策を練り続け、それまでの期間はあまり手の内を明かさないタイプの監督です。

 

前回のブラジルW杯でも、グループリーグのベルギー・韓国・ロシアの三戦に向けて完璧に準備を進め、アウトサイダーと目されていたアルジェリアを率いて見事にグループリーグを突破しました。

 

そして何より素晴らしかったのは、決勝T1回戦で当たったドイツ相手に延長戦までもつれ込む大接戦を演じたことでした。

 

皆さんご存知の通り、最終的にドイツは圧倒的な強さで優勝するのですが、この大会を通して優勝国・ドイツが最も苦しんだのは間違いなくハリル率いるアルジェリア代表戦でした。

 

僕は今でも覚えていますが、この大会多くの試合を観ましたが、その中でも観ていて最も面白かった試合がこの決勝T1回戦のドイツvsアルジェリアでした。

 

どちらかというとテクニカルなパスサッカーが中心だった北アフリカアルジェリアに縦に早い速攻と組織的な守備の意識を植え付けたハリルの采配はこの大会で世界中から賞賛されました。

 

特に世界王者ドイツ相手に「弱者のサッカー」で徹底的に追い詰めた決勝T1回戦の内容はハリルの名を世界に轟かすには十分すぎるほどでした。

 

おそらく日本サッカー協会もこの時のアルジェリアを見ていて、ハリルに良い印象を持っていたのだと思います。

 

だとしたら、ハリルが本番で結果を残すことができる監督というのは分かっていたはずで、そもそもそれを見越しての人選だったはずではないのでしょうか?

 

それを親善試合の数試合の結果で「結果が出ていない」と評価して解任するのはなんだか腑に落ちない部分があります。

 

極端な言い方をすれば、僕は「親善試合は別に勝たなくてもいい」とも思います。当たり前ですが、それよりも本番で結果を残すことが一番大事であり、それが今回検証できなかったことが何より悔しいですし、虚しいです。ハリル自身もその部分が一番悔しいのではないかと思います。

 

本番で結果が出なかった時にどうこう言われることについてはハリルも納得がいくと思います。

 

ハリルのこれまでの実績や言動からみて、全くの無策でコロンビア戦・セネガル戦・ポーランド戦に臨んだとは到底思えません。

 

日本代表にとってW杯本大会までの間の数年間の試合の中で、最も勝たなければならなかった公式戦は間違いなく昨年8/31のホーム・オーストラリア戦でした。

 

その試合ではハリルのほぼ完璧な采配と戦術でオーストラリアの弱点を突き見事完勝し、日本はW杯出場を決めました。

 

僕は日本代表の公式戦はよく見ていますが、あの試合がここ数年の中で最も「戦術の勝利」だった試合だと思います。

 

 

 *その時いかにしてオーストラリアに勝ったのかはこちらの過去記事にて書いています!↓

tackie23.hatenablog.com

 

 

あの試合はまさにハリルらしい、ここ数試合のオーストラリアについて研究に研究を重ねまくった、努力の成果による勝利だと感じました。

 

そんなハリルがW杯本番に無策で挑むでしょうか?

 

結果がどうであれ、ハリルが本番を見越して進めていた準備がどのようなものだったのかが見られなかったことが残念でなりません。 

 

 

3.ハリルはザッケローニ時代の反省を生かした人選ではないのか

 

もちろん、親善試合などの大一番以外の試合もしっかり作戦を練って、全力で戦わなければなりませんし、結果にもこだわって戦った方が本番を想定しやすいです。

 

前回のW杯のザッケローニの時は、選手個々の能力とチーム自体の組織力が高く、親善試合で良い結果を沢山残しました。就任してすぐにアジアカップを制したこともあり、「アジアでは敵なし」とも言われていました。

 

監督と選手の関係も良好で、ザックは選手の主張や意見を聞いて尊重していたので、選手からも本当に慕われていたみたいです。いわゆる「選手との距離が近い監督」でした。

 

ブラジルW杯後のインタビューで長友が「監督を勝たせてやりたかった」と号泣したことからもそれがよくわかります。

 

ただ、いざ本番のW杯になると、「自分たちのサッカー」への過信と、対戦相手の研究不足から惨敗してしまいました。

 

ザック時代の特徴のことを考えると、ハリルは真逆の特徴を持つ監督と言えます。

 

サッカーへの愛と情熱は誰よりも強く、そのため選手に課す規律も厳しく、もちろん選手の意見を取り入れて何かを決めるということもほとんどありません。

 

その分対戦相手の研究や、戦術や作戦に対する試行錯誤及びそれにかける時間はザック時代とは比べものになりません。

 

これらから見るに、ザック時代の良くなかった点を補うために今回ハリルを監督に選んだのではないかと考えるのは、自然なことです。

 

先ほども述べましたが、ならばなぜ解任したのかが本当に疑問です。何度も言いますが、結果が出ようが出まいが「前回と違うパターン」でW杯に挑むこと及びそれによって得られる結果は間違いなくこれからの日本代表の未来のために必要な財産になります。

 

この点で1つハリルに非があるとすれば、「試行錯誤の時期が遅かった」ということです。

 

大体のチームはもうこの時期はチームの戦術や大方のメンバーは決まっています。しかしハリルはまだこの時期バリバリ試行錯誤で、それが親善試合の内容や結果にも少し影響したという印象はあります。

 

というか今回「選手と監督との間に距離があること」が解任理由に挙げられていますが、そもそも選手と監督の間に距離はあっても別にいいですよね…(笑)。

 

 

4.この時期に解任することによる弊害がある

 

そもそもですが、W杯前のこの時期の監督解任はアフリカや中東諸国がたまにやるくらいで、それ以外の国であればまずあり得ないことです。それがまさか我が身に降りかかってくるなど予想もしていなかったので、そのショックは大きいです。

 

そして今回の解任による「諸外国の日本へのイメージ悪化」はかなりイタイです。

 

日本サッカー協会はここ最近は外国人監督を起用する傾向が強く、今回のW杯後も海外から大物監督を招聘したいと思っていたはずです。

 

しかし今回の件を見て、誰がこの国の監督をやりたいと思うでしょうか?

 

これに関してさらに厄介な点が1つあります。

 

今回の件で、韓国のメディアが「スポンサーの不満も要因の1つであったのではないか」という報道をしました。

 

ハリルの解任に本当にスポンサーが関わっているのかどうかは置いておいて、海外のメディアにこういう報道の仕方をされることは本当に痛いです。

 

事実かどうかは別にして、「監督の解任に関してもしかしたらスポンサーが関わっているかもしれない」という印象を持った国の監督など、自ら進んでやりたい人はいないでしょう。

 

協会の今回の判断には、日本サッカーの「これから」を無視しているという印象を抱かざるを得ません。

 

 

今回色々述べましたが、当たり前ですがやはり「憶測」の部分が多いですし、あくまでもいろいろな人の意見を参考にしたド素人の個人的な見解です。

 

ハリルが今回の決定に怒っていて、今度日本に来て色々喋るという報道がされていますが、その時に何も隠さず今回あったこと、そして感じたことを全て喋って欲しいです。

 

 

戦術や戦い方や人選など、結局「ハリルがやっていたこと」どんな目的があったのか、どんな意図があったのか。それが検証されないまま今回「解任された」という事実だけが残るのが1番の問題です。それを踏み倒して次に進むのはダメだと思います。

 

 

・これだけは言っておきたいこと

 

今回の記事、主張がブレていたり、全く根拠がない部分もあるかもしれません。でもこれだけは言っておきたいです。

 

今回の件で最も恐ろしいのは、このあと日本代表が、偶然などの要素もあり、W杯本大会で予想よりも良い結果を残してしまった場合、「やっぱりハリルを解任して正解だった!」と協会やファンが勘違いしてしまうことです。

 

もちろんどんな状況に陥ろうが日本代表には全力で戦ってもらい良い結果を残してもらうに越したことはないですし、僕もそれを望んで全力で応援します。

 

ただ、それと今回の解任の件は全くの別物です。上記に挙げた色々な理由から、この後良い結果を残そうが残さまいが、長期的な目で見るとこのような解任の仕方が良くない事であるのは明白な事実です。

 

それをしっかり頭に入れて今回のW杯は日本代表を全力で応援しましょう〜!

 

 

とこんな感じで「両方の立場に立って考えてみる!」とか最初にほざきながら結局肯定派の意見は薄くてほとんど否定派の意見になってしまいました(笑)。

 

まあつまりそれだけ今回の解任には違和感を抱いたということです。ハリルが来日して喋る内容を今は楽しみにしています。

 

あと完全に余談ですが、西野新監督就任決定後にニュース番組などがやたら「マイアミの奇跡を起こしたすごい人!」という紹介の仕方をしていましたが、僕は「だからなんだよ」と思いました。

 

W杯とオリンピックは全くの別物ですし、そもそもこの時日本はグループリーグを通過していません。マイアミでいくら奇跡を起こそうが今大会の苦戦は必至です。

 

まあこれに関してはもちろん西野監督は悪くなく、変な紹介の仕方をするメディアが悪いと思います。完全な余談でした。

 

今回は以上です。