tackieのフットボールブログ⚽️

ライター志望です。サッカーについて感じたことを書きます。プレミア・アーセナル・イングランド代表好きですが、なんでも書きます。

ロシアW杯グループリーグ対戦国分析/セネガル編

あけましておめでとうございます。タッキーです。

 

また忙しくてしばらく空いてしまいましたが、再開します。

 

今回は前回に引き続き、ロシアW杯グループHで日本の対戦国となる国々の紹介です。第2回は第2戦で対戦するセネガルです。

 

前回のポーランド編はこちら↓  よかったらまた読んでください!

tackie23.hatenablog.com

 

 

 

●対戦国2 : セネガル/大舞台に戻ってきた西アフリカのフィジカルエリート軍団

 

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出場歴 : 4大会ぶり2回目

最高成績 : ベスト8(2002年)

最新FIFAランキング : 23位

 

2002年日韓W杯で初出場ながらベスト8という結果を残した〝テランガのライオン〟が16年の時を経てW杯という大舞台に舞い戻ってきました。

 

その時は、直前の1998年フランスW杯、そしてEURO2000を制覇し、当時〝世界最強〟と言われ大会連覇がかかっていたフランスを開幕戦で破るなど、世界中に衝撃を与える大旋風を巻き起こしました。

 

しかしその大会で準々決勝まで進んだ後は、抜きん出たタレントがいないというわけではないものの、国際大会でも特筆した結果を出すことができず、W杯予選も3大会連続で敗退していました。

 

それでも2017年1月のアフリカ選手権で復調の兆しを見せ、国民の期待を一身に背負い16年ぶりのW杯出場となった今回、セネガルは間違いなく日韓の時以来最も充実したタレントが揃ったと言えると思います。

 

 

【特徴】

セネガルの特徴といえば、なんと言ってもワールドクラスのフィジカルを活かした気持ちいいほどのアタッキングサッカーです。

 

メインのフォーメーションは攻撃的な4−3−3で、最前線から最後尾まで、主にイングランドプレミアリーグやフランスのリーグ・アンでプレーしているタレントがズラリと揃っています。

 

特に旧宗主国であるフランスとの繋がりは強く、元ミランエムバイェ・ニアンやSBのユスフ・サバリ、そして後々紹介するDFの大黒柱カリドゥ・クリバリなど、フランスの年代別代表を経験し、その後A代表セネガルを選択した選手も多くいます。

 

ある意味、フランス代表の2軍という考え方もできるかもしれません。いや、身体能力という意味ではそのポテンシャルはフランス以上です。

 

フィジカルを活かした攻撃的なサッカーというのはアフリカ諸国の得意分野ですが、セネガルはその中でも特にフィジカルを最大限に生かし、大きな武器として他国に猛威をふるうチームです。

 

そしてセネガルは今回W杯に出場するアフリカのチームの中で最もFIFAランキングが高いです(セネガル23位・チュニジア27位・エジプト31位・モロッコ40位・ナイジェリア51位)。

 

必ずしも実力がFIFAランキング通りになるわけではありませんが、まあ簡単に言うとアフリカで今最も強いチームです。

 

前回のポーランドの回でセネガルとは当たりたくなかったと述べましたが、日本はW杯の舞台では、どちらかというとフィジカルよりはそれ以外の技術や組織力などをウリにしている北アフリカ諸国との相性の方が良いと思われるので、特にフィジカルエリートの揃うセネガル今回のアフリカ勢の中では最も当たりたくないチームでした。

 

セネガル高さ・早さ・強さの全てが高水準で、1対1の局面を作られればまず勝つのは難しいです。特に早さは今回のセネガル代表にとって特筆すべき大きな武器です。

 

そしてセネガルと当たりたくなかった理由のもう1つに、今や世界中のDFが恐れるあるバケモノFWの存在があります。

 

 

セネガル要注意人物①:サディオ・マネ

  

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その男こそ、今やプレミアリーグを代表する俊足FWとなりました、その快速で文字通りセネガルの攻撃陣を牽引するサディオ・マネ君です。

 

10年くらい前であれば、「セネガルの有名なサッカー選手といえば?」と聞かれたら僕はやっぱりエル=ハッジ・ディウフと答えていました。ここ最近ではパピス・シセデンバ・バもいましたが、やはり少し前のセネガルといえば彼のイメージが強いです。

 

そして今セネガルで最も有名なスター選手はこのマネです。

 

最も特筆すべき点は、なんと言ってもその規格外のスピードと、それを活かした圧倒的なフィニッシュ能力です。

 

現在25歳ですがその能力はすでにワールドクラスで、2016年の夏から所属する強豪リバプールでもすでにエース級の存在です。所属クラブの規模などからみたキャリア的にもおそらく今後セネガル史上最高の選手となり得る可能性は十分にあります。

 

アーセナルファンである僕は、グループ分けが発表された時真っ先に「プレミアでも日本代表でもマネが立ちはだかるのか…」と思いました(笑)。

 

月並みな言葉で表現しますが、マネはとにかく体のキレが物凄いです。適切な距離を保ち1対1に挑んだとしても、少しでも間合いを詰めると「クイッ」と逆方向に切り返され、そのままスピードに乗られて「ハイ、おしまい」って感じです(笑)。

 

彼の切り返しは「クイッ」という音が聞こえてきそうなほど鋭くて軽やかです。そしてその切り返しをした後にほぼノーモーションで素早くシュートを打てるほどのフィジカルも持ち合わせています。

 

そしてそのシュートの精度がまた高いです。アフリカンらしい荒削りな感じは彼にはあまりなく、洗練された技術も持ち合わせているところが厄介な部分でもあります。

 

こちらはマネの凄いゴールを集めた動画です。個人的に、一番最初のゴールと、4:30〜辺りからの左サイドから切り込んでぶち込んだゴールが、マネの真骨頂のようなゴールだと思います。そして奇しくも両方vsアーセナルでのゴールです…。

 


Sadio Mané - 20 Goals |HD|

 

また、これは前回紹介したレヴァンドフスキと共通する部分なのですが、マネは短時間での爆発力も兼ね備えています。サウサンプトンに所属していた2015年5月に行われたアストン・ヴィラ戦で前半13分から16分のわずか2分56秒間でハットトリックを達成し、プレミアリーグの最速ハットトリック記録を打ち立てました。驚愕の記録です…。レヴァンドフスキ同様、短時間の出場でも注意が必要です。

 

ちなみにこのサウサンプトン時代にマネは吉田麻也とチームメイトでした。なので今回の対戦で吉田は「絶対に負けたくない」と人一倍意気込んでいるはずです。マネの取り扱い方法をチームに教授するのと共に、その気持ちを是非ピッチ上でぶつけて欲しいです。

 

また、右ウイング・左ウイングのどちらでも同等の働きができるのも彼の大きな特徴です。マネは右利きですが、通常右利きで切り返しを得意とするウイングは左ウイングでプレーするのを好みます。しかし彼にはそのこだわりはなく、右ウイングでも頻繁にプレーしますし、どちらかとその方が多いです。さらに、彼は左足でも遜色なく強力かつ精度の高いシュートが打てるので、右サイドからの切り込みにも注意が必要です。

 

彼はまさに「無理がきく選手」であり、いわゆる「わかっていても止められない選手」なのです。

 

よって、彼に1対1を仕掛けられた場合、最低でも常にもう1人カバーにいる状況を作ることが好ましいです。

 

 

セネガル要注意人物② : ケイタ・バルデ・ディアオ

 

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サリフ・ケイタをはじめセイドゥ・ケイタやナビ・ケイタなど、今までのサッカーの歴史でおそらく500人くらいいそうな「ケイタ」の名を持つ選手ですが、最新版の「ケイタ」がこの選手です。

 

このケイタもマネと同じく圧倒的な速さを生かした突破を武器にしたウイングで、やはりセネガルはこういうタイプの選手が多いです。

 

このケイタとマネの両ウイングの突破力と得点力がセネガルの最大の武器であり、オフェンスの生命線でもあります。

 

似たようなタイプの選手ですが、違いがあるとすれば、マネよりもゴールに向かってより直進的なドリブルをすることが多いです。

 

また、マネよりも上背があり姿勢のいいドリブルをするので、より迫力があります。

 

さらにバルセロナの下部組織出身ということもあり、テクニックにも優れており、多彩なステップを盛り込んだドリブルを仕掛けてくることもあります。

 

例えるならば、マネがナイフケイタが弾丸という感じです。

 

満を持して今シーズンから加入したモナコでも、レギュラーとして出場し存在感を放ち、いい状態でW杯を迎えられそうです。

 

シュートやドリブルの精度など、まだ若く荒削りな部分もありますが、今後マネと共にセネガルの攻撃陣を引っ張っていく選手であることは間違いないです。

 

おそらくマネが右でケイタが左が基本だと思いますが、右のマネばかりに気を取られていると間違いなくこのケイタにやられてしまうので日本は十分に気をつけなければなりません。

 

 

セネガル要注意人物③ : カリドゥ・クリバリ

 

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先程もチラッと触れました、セネガルが世界に誇る守備の大黒柱がこのカリドゥ・クリバリです。

 

2014年から所属するセリエAナポリでも不動のレギュラーとしてプレーするクリバリは、やはり他の選手同様、圧倒的なフィジカルを生かしたプレーが持ち味です。

 

187センチ89キロという巨体で、まるで岩のように強い体を生かしたディフェンスは圧巻で、対人守備では今や世界屈指のCBです。そしてその体格の割にスピードも標準以上で、もちろん空中戦にも強いです。

 

ただ、彼が守備の国・イタリアでこれだけ評価される理由はそこではありません。

 

彼はこれだけのフィジカルを持ち合わせながら、「頭も使える」選手なのです。

 

具体的に言うと、ポジショニングセンスが良く、足元の技術も高くてビルドアップの起点にもなれます。いわゆるモダンなタイプのCBです。目の肥えたセリエAのファンが彼を評価するのはその部分が大きいです。

 

どちらかが優れているだけのDFであれば世界を見渡せば一定数いますが、彼のように、フィジカルと頭の良さの両方をこれだけハイレベルで持ち合わせている選手はそうそういません。

 

なので移籍市場では、チェルシーマンチェスター・シティリバプールなどの強豪チームをはじめ様々なクラブから毎回引き抜きを狙われる人気銘柄の選手です。

 

日本との対戦でも彼が文字通り「壁」となり、大きく立ちはだかるでしょう。攻撃面では彼が統率するセネガルのDFラインをいかに崩せるかが大きな鍵になりそうです。

 

ちなみにこのクリバリがセネガル代表を選択した後、フランス代表のデシャン監督はめちゃめちゃ悔しがったそうです。それくらい凄い選手です。

 

 

●具体的にどう戦うか

 

ではこのフィジカルエリート軍団であるセネガルを相手に、日本はどう戦うべきでしょうか。

 

何度も何度も述べているように、セネガルはグループの中でも最も身体能力が高く、ハリルがよく口にする1対1の「デュエル」でいかに負けないかが問われる試合になります。

 

ただ、1対1になる場面が多くなればなるほど日本にとっては不利な戦いになってしまうため、なるべく組織的に、まとまりや規律をもって戦うことが他の試合以上に求められます。

 

具体的に言うと、個で仕掛けられた時に、完全に1人で対応するのではなく、基本的に常にもう1人カバーの準備ができている、もしくは常にその意識がある、という状態を作る必要があります。

 

このシーンは先ほど貼ったマネの動画の4:30〜のゴールシーンです。

 

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このシーン、対峙したDFのホールディングは決して悪すぎる対応をしたワケではありません。

 

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しかしマネは対峙したDFの横にわずかなスペースを見つけると、

 

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ワンタッチで「クイッ」と切れ込み、

 

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そのままワンステップで逆サイドに強烈かつ精度の高いシュートを叩き込みました。

 

逆サイドのケイタもそうですが、特にマネはこの一連の流れが本当に早いです。

 

アーセナルの守備陣が極端に悪い守り方をしたワケではありません。しかし身体能力の高いセネガルの選手は、わずかなスペースでも見つけるとそこに切れ込みフィニッシュまで持ち込んでしまいます。

 

このようなシーンを沢山作らせない為にも、日本の守備陣は、フラットな状態を保ちながら、一人一人が常に一定の距離を保ち、全体的にコンパクトに連動して動き続けなければなりません。

 

そうすれば、相手に使われやすいスペースも生まれにくく、常にカバーにも入りやすいです。

 

もし4バックで戦うのであれば、守備時は4人がまるで一つの塊であるかのように連動して動き続ける必要があります。

 

もちろんこれは守備陣だけでなく全員が意識しなければならないことですが、特に相手に自陣バイタルエリア付近でボールを保持された時、守備陣はこれを強く意識しなければなりません。

 

ただ、口では簡単に言えても、実際に試合でこれを意識してやり続けるのは、恐ろしいほど難しいです。

 

誰が、どのくらいの距離感でファーストディフェンダーにいき、そして誰がそこのカバーにいくのか、そのような細かい「決まりごと」を沢山決めることがこの試合では必要になってくるはずです。規律に厳しいハリルホジッチ監督なら、この試合はよりそういう決まりごとを多く設けてくるでしょう。

 

また、攻撃面では一人一人がアフリカらしい身体能力を生かした仕掛けをガンガンしてくるセネガルですが、逆に言えば全体の連動性とコンパクトさはそれほどあるわけではありません。

 

相手が攻めきった後、もちろん重要になってくるのはカウンターです。その際はなるべく大きな展開で横に揺さぶり、それによって出来たスペースを使って、裏を狙ったり、DFとDFの間を使ったりすれば、チャンスを得る回数も増えるでしょう。

 

要は相手がやってくることをやり返せばいいのです。

 

 

●絶対に1対1で負けない!というよりかは… 

 

この試合は「最も1対1のデュエルが重要になる試合」と述べましたが、「絶対に1対1で負けない」と意気込んで臨むというよりかは、最悪負けてもいいから常にカバーにいけるように臨むくらいの意識の方がいい気がします。

 

身体能力に関しては、アフリカなどの選手に勝てないのはもうしょうがないことです。そもそも体の作りが違います。今からW杯までに体を鍛えたりしてもどうにかなる問題ではありません。

 

もちろん一人一人が「絶対に負けない」という気持ちで臨むことは重要ですが、それよりももっと「次に起こり得ること」をイメージしながら臨むことがこの試合では重要になると思います。

 

また、1対1の激しい戦いが増える試合になるぶん、消耗も激しいゲームになるでしょう。油断すれば、それこそまた前回のブラジルW杯の初戦のコートジボワール戦のように、後半に立て続けに失点を食らって負ける可能性も十分にあります。

 

そういう意味では、選手交代のタイミングも重要な試合になってきます。

 

そして何よりこのゲームは「最初の10分と最後の10分」が重要になるゲームでもあります。

 

試合開始直後にパワーのある相手の迫力にバタバタしてしまうことも、消耗が見え始めた試合終盤に集中力が切れて油断してしまうことも、絶対にあってはなりません。

 

長々と書きましたが、個人的にこの第2戦はグループリーグの中で、最も厳しく最も重要な試合になると思います。

 

セネガルのアフリカンパワーに負けず、規律を持った戦い方をして勝つことを期待しましょう!

 

今回はこれで以上です。

 

 

 

参考サイト

 

http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=33459

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171202-00010003-footballc-socc