イタリアW杯予選敗退という衝撃/〝W杯出場〟という権利はもはや強豪国だけのものではない(前編)
おはようございます。
先ほど、2018ロシアW杯ヨーロッパ予選プレーオフ第2戦、イタリア対スウェーデンが終わり、結果は0-0でした。
これにより、1stレグ1-0で勝利を収めていたスウェーデンが29カ国目のW杯出場国となり、なんとイタリアが実に60年ぶりにW杯出場を逃す結果になりました。
イタリアといえば、W杯出場18回、そして優勝4回を誇る世界でも指折りのサッカー強豪国です。
#WCQ | FT
— #WCQ (@FIFAWorldCup) 2017年11月13日
🇮🇹Italy 0-0 Sweden🇸🇪 (0-1 agg)
Sweden give their all to hold off an Italian onslaught and triumph on aggregate, booking their ticket to Russia.https://t.co/SpQDWJq93q pic.twitter.com/hGK3b8C4jd
早速多くのメディアでもサッカー史に残るこの〝衝撃〟が伝えられています。
今回のW杯予選ではすでにオランダ、チリの強豪国を筆頭に、アメリカ、コートジボワール、カメルーン、トルコ、パラグアイなどのW杯に馴染みのある国の敗退が決まっています。
誰もが知る伝統と実力を持つ〝アッズーリ〟ことイタリアもこのリストに名を連ねることになりました。
正直、オランダはちょくちょく国際大会の出場を逃すことはありました。しかしイタリアが逃すのは実に60年ぶりの出来事です。そこら辺のチームが逃すのとは話が違います。
今回はなぜこんなことが起きてしまったのでしょうか。
●スタメン
イタリア
イタリアは1stレグあまり動きが多くなく攻撃の手詰まり感の1つの要因となった2トップに少し手を加え、電柱タイプのベロッティに替えガッビアディーニをスタメンに起用。
出場停止の司令塔・ヴェッラッティ、コンディションが微妙なデ・ロッシに替えそれぞれジョルジーニョ、フロレンツィが先発に名を連ねる。
一方のスウェーデンは1stレグで値千金の決勝点となる代表初ゴールを決めたヨハンソンが先発。クラブでは出場機会のないリンデロフがDFラインを締める。
序盤はW杯出場を決める試合らしく激しい展開になり、開始30分で両チーム2人ずつの計4人にイエローカードが出され、スウェーデンはヨハンソンが悪い足のつき方をして負傷退場してしまう。
主審のスペイン人・アントニオさんがキビキビとカードを出すタイプなので最初からハードな試合となる様子が窺われた。
イタリアは1stレグと同様、両ウイングバックが高い位置を取り攻撃時はなるべく人数をかけるようにする。何としてでもとりあえず1点が必要なため、早め早めにタテにボールを繋げていく展開。守備では最終ラインの3人+ジョルジーニョで安定させる。
そして1stレグとの違いは、ベロッティに替わって入ったガッビアディーニが積極的に下がり目の位置に動き回ることで収める位置が増え、攻撃にやや流動性が見える点。
それに対してスウェーデンは人数をかけて中央を固め、落ち着いて対応する。攻撃時になればベリにあててカウンターを狙う。1戦目も含めて、とにかくスウェーデンが固い。百戦錬磨の試合巧者イタリアでもなかなか崩せない。
スウェーデンは90分を通してほぼ11人で守る。イタリアは前半から幾度かゴールに迫るが、低い位置でつないでサイドから何度もクロスを放り込む単調な攻撃になることが多かった。
後半に入るとさらにその色は濃くなり、3バックはバルザーリを真ん中にし、攻撃センスのあるキエッリーニとボヌッチがサイドに出て攻撃の起点を担うようになる。ただクロスはいずれもゴールには繋がらない。
結果的にイタリアは後半にエル・シャーラウィ、ベロッティ、ベルナルデスキと攻撃的なカードを次々ときり、76%の支配率で25本のシュートを放つもスウェーデンの守備をこじ開けることができず、予選敗退となった。…
いや〜スウェーデン固かったですね。0-0でいけば3大会ぶりのW杯出場が決まるとあって、相当な覚悟でこの試合に臨んでいました。
ただそれはイタリアも同じで、毎回のことですが、彼らの全身全霊を込めた国歌斉唱には胸が震えました。特に今回約7万人の観客が集まったサン・シーロでの試合とあってその雰囲気は異様でした。
その分、今回の敗退はサッカー大国イタリアに大きな衝撃を与えるには十分だったと思います。
僕も、1stレグが1-0で終了した後、心のどこかで「百戦錬磨のイタリアならなんだかんだ最後は勝ってW杯出場を決めるだろう」という気持ちがありました。その分この敗退の衝撃は大きいです。
●イタリアの課題
進まない守備の世代交代
イタリアは前線に若い才能のある選手が続々と現れているのに対し、DFラインは未だにボヌッチ、キエッリーニ、バルザーリという30代トリオ、そしてGKを大ベテランのブッフォンに任せているという現実があります。
イタリアは3バックを多用しますが、このシステムはどちらかというと多くの経験を積むことを必要とするシステムでもあります。
とはいえ、期待できる若手のDFはユーヴェのルガーニくらいで、前線に比べDFの後継者があまり育っていないことは事実です。
そしてこのロシアW杯を最後に代表引退を表明していた〝レジェンド〟ブッフォンにとって、この試合は最後の試合となってしまいました。あまりにも悲しい最後です…
最後のインタビューの彼の涙が今回の悲劇の全てを現しています。これほど見るのが辛いものはないです。
ただ、今回のイタリア代表の敗退、ただの「番狂わせ」とは言えない部分もあります。
また長くなりそうなので、何回かに分けて後で書きます(笑)
中編はこちらです ↓