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ライター志望です。サッカーについて感じたことを書きます。プレミア・アーセナル・イングランド代表好きですが、なんでも書きます。

「FFP」とは?/サッカー界を変える新ルールは本当に意味があるのか(前編)

こんにちは。たっきーです。

 

みなさんはFFPという言葉を耳にしたことはありますか?

 

特にここ数年よく聞かれるようになりましたが、サッカー好きならもちろん知っている言葉だとは思います。

 

この「FFP」、現代のサッカー界を読み解くために重要なカギを握るキーワードの一つになっているのですが、今回はそれについてのお話です。

 

 

・「FFP」とは?

 

正式名称は「ファイナンシャル・フェアプレー〔FFP〕」

 

サッカークラブにおける経営の健全化・安定化を義務付け、財政破綻を未然に予防するための仕組みです。

 

わかりやすく言うと、アホみたいに大金使わずにまともな経営しろよ?ってことです。

 

ここ数年、中東の大富豪などが有力クラブのオーナーになりサッカー界に参戦することにより、ヨーロッパサッカー界の移籍市場では毎シーズンのように莫大な移籍金が動くようになりました。

 

中には赤字経営になりながらも大きな移籍金を使い(つまり借金をしてまで多額の移籍金を使い選手を獲得し)、結局財政破綻してしまうクラブまで現れるようになりました。

 

大きな理由としては、毎年のようにCLに出場し安定した収入がある有力クラブだけでなく、そうでない中堅クラブまでがスター選手を獲得できるほどの財力を得たことにより、毎シーズン競うように大金を払い有力選手を獲得する流れにより拍車がかかってしまったことが挙げられます。

 

それらの問題を受けて経営の健全化を計るために、UEFAプラティニ会長が提唱し、2011年6月から導入されたシステムがFFPです。

 

 

FFPの内容

 

●クラブの支出となる移籍金や人件費などの経費は、選手の売却による移籍金スタジアムの入場料テレビの放映権料大会での賞金グッズの収入スポンサー収入などの、クラブが純粋に得た営業利益を超えてはならない(赤字経営の禁止)。

 

●これによって、以前は行われていた銀行からの借り入れや、豊富な資金力を持つ金満オーナーのポケットマネーによる移籍金の支払いと赤字の補填は一切許されなくなる。

 

●審査は基本的に過去3シーズンの合計収支で判断。ただし正式な施行が2013−2014からのため、初回は導入された2011-2012、2012-2013の過去2シーズンの合計収支

 

●それでも突然赤字経営禁止になったことにより、いきなり2年間でそれまでの借金をゼロにすることは難しいというクラブが多いため、救済措置として、2014-2015シーズンまでは赤字の許容額が4500万ユーロ以内2015-2016〜2017-2018シーズンまでは3000万ユーロ以内という設定アリ。

 

2018-2019シーズンからは赤字をゼロにしていかなければならない。そのため、それが困難なクラブは主力選手の放出などをして移籍金を捻出していく必要がある。

 

●上記の基準を満たしていないクラブは、制裁としてCLやELなどのUEFA主催のコンペティションへの参加が認められない(最も重い処分)。他には罰金などの処分アリ。

 

●ただし、スタジアムの建設や改修などのクラブの施設にかける費用、そして育成組織への投資は支出としては計上されない。

 

※全て参照1.2より一部抜粋

 

一番最後のルールはかなり良いと思います。最近は大金によるスター選手の獲得が多く、自チームの育成組織にあまり目を向けないチームも増えてきました。このルールをキッカケに各クラブがより育成に力を入れ「育成選手ばかりのトップチームになる」もしくは「育てて売ることのできる」というクラブが増えれば、サッカー界全体の財政健全化に一歩近づくと言えるでしょう。

 

また、各クラブはこのようなルール改正のために、様々な方面で純粋な営業努力をするようになります。ここ最近、プレシーズン期間のサマーキャンプにアジアへのツアーを組むようになったビッグクラブが増えたのもそのためです。ユニフォーム等のグッズの売り上げなど、ヨーロッパの有力クラブにとってアジアは世界の中でも特に大きな市場となるエリアです。

 

このように単純な経営の健全化だけでなく、FFPには他にも多くのポジティブな要素が見込まれます。ただ、やはり大きなルールの改正には問題点が伴います。

 

 

FFPの問題点

 

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 今季夏にPSGに加入したネイマール(左)とムバッペ(右)

 

さて、ここからが本題です。

 

このルール改正でどのチームも経営を見直し、一気にサッカー界全体の財政健全化が進められればなんの苦労もありません。

 

しかし、もちろんこのFFP」というルールの抜け道を見つけ出し、「それでも大金を払って毎シーズンスーパースターを獲得しまくりたい!」というチームがあるわけです。

 

レアル・マドリーはこのようなルール導入後にも関わらず、2013-2014シーズンに当時市場最高額の1億ユーロ(約130億円)という天文学的な移籍金でギャレス・ベイルを獲得し、世界中を驚愕させました。

 

なぜこのようなことが可能なのかというと、単純にそもそもレアルにはそれ以上の収入があるからです。

 

レアルのようなチームは世界中でも圧倒的な人気押しも押されもせぬブランド力があり、これまで積み上げてきた実績や伝統が他のクラブとはレベルが違います。さらには毎シーズンのようにCLなどで好成績を収めるため安定した収入もあり、このような選手の獲得が可能なのです。

 

それはバルセロナバイエルン・ミュンヘンユベントスなどのチームもしかりですが、世界中でもわずかな数チームのみです。マンチェスター・ユナイテッドもこの部類のチームで、ここ最近のUEFA主催のコンペティションでは振るいませんが、特にアジアを中心とした世界中での圧倒的な人気により、グッズ収入を中心に多くの収入があり、2016-2017シーズンにポール・ポグバを1億1000万ユーロという大金で獲得することができました。

 

問題は、そうでない、ここ最近金満オーナーの力により多くのスター選手を獲得し、強豪クラブへと〝成り上がり〟を果たしたチームによる選手の獲得です。

 

パッとみなさんの頭に思い浮かんだのは、マンチェスター・シティパリ・サンジェルマン(PSG)などのチームだと思います。

 

これらのチームに伝統や実績がないと言いたいわけではありませんし、2チームとも今や十分な人気チームです。ただ、やはりレアルやバイエルンなどに比べるとそこまでの圧倒的な人気やブランド力は無く、むしろこれからそれを築いていくチームです。

 

特にPSGは今季の夏、サッカー界の歴史に残ると言えるようなハチャメチャな選手補強をやってのけました。

 

 

長いので後編に続きます! 

後編はこちら↓ 

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